ハッキングされる前提で、生きる。個人と会社の守り、5段階。
専門用語なし・出典つき結論を1枚で
2026年10月、日本では1か月で1億8,500万件の個人情報が漏れました。「漏れないように」はもう無理です。やることは「漏れても、お金は動かない・データは戻る」状態を作ること。このページはその作り方を、個人と会社それぞれ5段階に分けて置いています。専門用語は使いません。
今日やる3つ(30分・0円)
米国(CISA)、英国(NCSC)、豪州(ASD)、日本(警察庁・IPA)の個人向け公式ガイドは、言い方が違うだけで中身はほぼ同じです。それを「どの順でやるか」に並べ直しました。チェックを入れると、この端末のブラウザの中にだけ残ります。
米・英・豪・日の公式ガイドが共通して挙げるのは「更新・別パスワード・2つ目のカギ・予備コピー・だましを疑う」の5つだけ。ネットバンキングの不正送金は2025年に4,747件・約104億円で、その約9割がなりすましメールから始まっています。入口はいつも同じです。
米 CISA「Secure Our World」4項目/英 NCSC「Cyber Aware」/豪 ASD「Easy steps」/警察庁 サイバー警察局だより(5項目)
2026年上半期、ネットバンキングの不正送金は前年の半分(253件・約21億円)に減りました。2つ目のカギとパスキーの普及が効いたと見られています。一方、SNSで誘う投資詐欺は約2.2倍(798億円)。つまり「仕組み」で止まるものは止まり、「人をだます」ものが残った。この段で仕組みを全部入れ、残りは「切って掛け直す」で受けます。
英 NCSC「Cyber Aware」6項目/豪 ASD「Personal cyber security: first steps」/IPA 10大脅威2026 個人編の大半に効く
この段から目的が変わります。「入られない」から「入られても、お金は動かない・データは戻る」へ。証券口座の乗っ取りは2025年に9,861件・売却約3,949億円。各社がパスキー必須に切り替えた2026年7月以降、ほぼ沈静しました(金融庁)。仕組みを変えると、犯罪は本当に減る。
米 CISA「フィッシング耐性のある2つ目のカギ」ファクトシート/英 NCSC バックアップ指針/金融庁 証券口座乗っ取り対策(パスキー推奨)
10月のBinance(約1兆円)は、技術者1人のパソコンから始まりました。あなた自身が会社やお金の「鍵」である立場なら、攻撃者は会社ではなくあなたの生活を狙います。AIを使った詐欺はFBIの集計で2025年に22,364件・損失8.93億ドル。「本人の声」はもう証明になりません。
Google Advanced Protection Program/Apple Lockdown Mode/EFF「Surveillance Self-Defense」
この段に「100%」はありません。目的は「入られるまでの時間を延ばす」「入られている時間を短くする」「入られても取られる物を減らす」の3つ。Lv.1〜4の全部を土台にして、その上に専門家の目を足します。
EFF「Surveillance Self-Defense」/Access Now Helpline/Apple Lockdown Mode・Google Advanced Protection(要人向け設計)
会社は「社長が決めたことが全部」。段を上げるほど、取引先に見せられる形になります。右の「対応する基準」は、世界で使われている合格ラインの名前です。名前は覚えなくていい、説明できればいい。
2026年上半期、警察に届いた身代金ウイルスの被害123件のうち、約64%が中小企業でした。侵入口の約半分は、会社の外とつなぐ機器(VPN)です。土台がない会社は、狙われたのではなく「たまたま開いていた」から入られています。
IPA 情報セキュリティ6か条(中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版、2026年3月)/SECURITY ACTION ★一つ星
英国政府はこの5つを「よくある攻撃の大半を防げる最低線」として、公共調達の条件にしています。日本で起きている身代金ウイルス被害の侵入口(VPN機器・リモート接続)を、物理的に塞ぐのがこの段です。
英国 Cyber Essentials v3.3(2026年4月〜)/SECURITY ACTION ★★/米国 CIS Controls IG1(56項目)/豪州 Essential Eight 成熟度1
この段から、守りの目的が「入られない」から「入られても気づく・止める・証明する」に変わります。2026年9〜10月、佐川急便(最大5,323万件)、良品計画、カプコンなどで大規模漏えいが連鎖し、10月前半だけで個人情報保護委員会への報告は830件。「うちは大丈夫」が通じない空気になりました。
IPA サプライチェーン強化のセキュリティ対策評価制度(SCS)★3/英国 Cyber Essentials Plus/米国 CIS IG2/豪州 Essential Eight 成熟度2
アサヒグループは2025年9月の攻撃で基幹システムが止まり、影響は400億円弱、純利益は36.7%減。この規模になると、守りは技術ではなく「経営の仕組み」です。認証や枠組みは、仕組みが回っている証拠を他人に見せるための道具。
ISO/IEC 27001:2022/米国 NIST CSF 2.0(6機能)/経産省 サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver3.0/SCS ★4/CIS IG3
この段は「自社を守る」話ではなく「社会を止めない」話です。2026年の10大脅威では「地政学的リスクに起因する攻撃」が6位。国が守りに介入する法律が動き出したのも、民間だけでは受け切れない攻撃が現実になったからです。
サイバー対処能力強化法/経済安全保障推進法(基幹インフラ制度)/EU NIS2・DORA・CRA/米 CMMC Level 2/豪 ASD Essentials(2026年10月公開の新枠組み)
答えはこの端末の中にも残りません。正直に押すほど、次にやることが正確になります。
スマホ・パソコン・ブラウザの更新は「自動」になっている
メールと銀行のパスワードは、ほかのサイトと違うものにしている
メールと銀行には「2つ目のカギ」(ログイン時に端末や指紋で確認)がついている
パスワード金庫アプリを使っていて、サイトごとに全部別のパスワードになっている
スマホとパソコンの予備コピー(バックアップ)が自動で取れていて、戻せることを一度は試した
家族と「合言葉」を決めていて、「急がせる連絡は切って掛け直す」と決めている
大事なアカウントは、物理キー(USBの鍵)かパスキーだけで入れるようにして、SMSの確認コードは外した
銀行・証券などお金の操作は、専用のブラウザか専用の端末でやっている
専門用語を外して、「自分に何が起きうるか」だけ書きます。出典は各項目の末尾。
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漏れる前提。パスワードは金庫に、入口はパスキー、お金は別の部屋、予備コピーは切り離す。
| 段 | 個人 | 会社 | 世界の基準でいうと |
|---|---|---|---|
| Lv.1 | 更新を自動に/メールと銀行は別パスワード+2つ目のカギ/急がせる連絡は切って掛け直す/予備コピーON | IPA 6か条を社内ルールに/SECURITY ACTION ★/全員2つ目のカギ必須/管理者権限を外す/送金変更は電話確認 | CISA Secure Our World、NCSC Cyber Aware、IPA 6か条 |
| Lv.2 | パスワード金庫で全部別/パスキーへ/SMSのカギを格上げ/漏えい確認/家族の合言葉/利用通知ON | 英国の5つの技術対策/クラウド全部に2つ目のカギ/切り離した予備コピー+復元テスト/VPN機器の更新/★★ | Cyber Essentials v3.3、CIS IG1、Essential Eight 成熟度1 |
| Lv.3 | 物理キー2本/SMSのカギを外す/お金は専用の部屋/切り離したコピーを月1で復元テスト/ルーター更新/本人申告 | 見張り番+24時間監視(EDR/MDR)/全員パスキー/ログ1年/委託先にも要求/年1訓練/サイバー保険/SCS★3先取り | SCS★3(2027年3月受付)、Cyber Essentials Plus、CIS IG2 |
| Lv.4 | Google高度な保護/ロックダウンモード/番号とメールを分ける/暗号資産は箱へ/家族と本人確認手順 | ISO 27001 か NIST CSF 2.0/社内でも毎回確認/データに札/年1の侵入テスト/全部止まった日の手順書/取締役会で報告/SCS★4 | ISO/IEC 27001:2022、NIST CSF 2.0、SCS★4 |
| Lv.5 | ロックダウン常時ON+定期初期化/スパイウェア検査/Signal/旅行用端末/専門家のヘルプライン | 法律の報告義務(2026年10月〜)/24時間監視部屋/同業で情報共有/本気の模擬攻撃/部品表/各国法令 | サイバー対処能力強化法、EU NIS2・DORA・CRA、CMMC |
一段飛ばしはしない。上の段は、下の段がある前提で効きます。会社は、社長がこの順番を「決める」ことがLv.1。
ニュースや設定画面にはこちらの言葉で出てきます。意味がわかれば十分、覚えなくていい。